■ 黄耆建中湯の処方解説

黄耆建中湯は、陰陽両虚に属する虚労病の処方です。

黄耆建中湯の主治は、虚労裏急・諸不足です。虚労裏急は、小建中湯が適用する中焦虚寒・脾虚肝乗の状態です。諸不足とは、気虚の程度が強いと言うことを示しています。黄耆建中湯は、小建中湯に甘温で益気升陽に働く黄耆を加え益気建中の効果を強めています。虚弱体質、ねあせ、湿疹・皮膚炎、冷え症などに効果があります。

黄耆建中湯の臨床応用

小児の臍部疝痛・胃腸神経症・慢性胃炎・慢性肝炎・胃十二指腸潰瘍・けいれん性便秘・過敏性結腸症候群などで、脾虚の腹痛を呈するもの。小児や虚弱者の感冒にも用いる。これに準じるが気虚の程度が強いものに適する。このほか、アレルギー性鼻炎・慢性中耳炎・皮膚潰瘍などにも用いる。
陽が不足しておこる様々な症状に多用されます。虚寒証の腹痛で、四肢の冷えと寒痛があり温めると改善する時の第一選択薬とされています。

黄耆建中湯（煎じ薬）・・・　K 9（薬局製剤）

 配合生薬  薬量  中医効能  方剤解説
 桂皮  ３．０g  温中散寒  中焦を温め寒を除去します
 芍薬  6.0g  補血滋陰・調和営衛  血を補い陰を滋養する桂皮との組み合わせで衛気と営気を調和させる。
 大棗  3.0g  調和営衛  衛気と営気を調和させます。芍薬・大棗・甘草の組みあわせで平滑筋や筋肉の緊張をゆるめ緊張を解き滋養作用により補血します。
 生姜  1.0g  調和営衛  衛気と営気を調和させます
 甘草  3.0g  調和営衛  衛気と営気を調和させます。芍薬・大棗・甘草の組みあわせで平滑筋や筋肉の緊張をゆるめ緊張を解き滋養作用により補血します。
 黄耆  1.5g  補気升陽・補気固表  気を補い脾の陽気を上昇させる。また衛気を強化させます。
 膠飴  20g  健脾止痛  補益し腹痛と痙攣を抑えます。

黄耆建中湯エキス剤・・・・「クラシエ」療方補気升陽顆粒

クラシエ黄耆建中湯90包成人１日の服用量3包（１包2.7g）中、次の成分を含んでいます。
黄耆建中湯エキス粉末・・・6,700mg
〔ケイヒ・タイソウ・オウギ各4.0g、ショウキョウ1.33g、シャクヤク6.0g、カンゾウ2.0gより抽出。〕
添加物として、CMC-Ca、二酸化ケイ素、セルロース、ステアリン酸Mgを含有する。
〈成分に関連する注意〉
本剤は天然物（生薬）のエキスを用いていますので、顆粒の色が多少異なることがあります。

効能
体力虚弱で、疲労しやすいものの次の諸症：虚弱体質、病後の衰弱、ねあせ、湿疹・皮膚炎、皮膚のただれ、腹痛、冷え症

療方補気升陽顆粒（黄耆建中湯）の使用上の注意・添付文書はこちらから

　　　　　　　
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