疾患別処方

漢方治療の現場から・・・にきびの漢方治療

 にきび   

にきびは思春期特有のものやアダルトにきびと呼ばれる20代~30代になっても悩む人が多い皮膚病です。原因は食生活の乱れやストレスや睡眠障害などの原因が重なっておきています。
 多くの人が経験する病とはいえ、女性にとっては美容面でのハンディを作り、精神的にもまいってしまい別な病気を起こしたり病気そのものが長引いてしまいます。
 漢方では、にきびは身体の中で発生した余分な「熱」が皮膚に影響を与えることが原因となって起こると考えます。
 身体の中のどこに「熱」があるのかを判断し、余分な「熱」を取り除いたり、新たに「熱」が発生しないように体内のバランスを整えることに重点を置いて治療に当たります。

 タイプ別のにきび

思春期型にきび
泡粒のような赤い発疹が顔全面に現れます。中・高校生の若い時期に良く見られるのが特徴です。このようなにきびは、熱が原因で起こりますから、治療には、熱の勢いを抑え皮膚の炎症を鎮める荊芥連翹湯を用います。性別や年齢を問わず、幅広く用いることが出来る漢方薬です。
また、思春期型で特に化膿しやすいときには排膿効果を持つドクダミを加えるといいでしょう。
生理前に悪化するにきび
女性の中には、生理前になるとにきびが出やすくなる人がいます。普段からにきびに悩んでいる人が、生理の時期になるとさらにひどく なる、といったケースです。
このような場合、「血(栄養物質)」の循環に障害を起こしていることが多いので、生理不順や生理痛に悩まされがちです。このような
にきびには、桂枝茯苓丸を用います。この漢方薬は、身体の中の血行を良くする働きがありり、にきびだけでなく生理のトラブルも解決します。桂枝茯苓丸に皮膚をきれいにしていく作用があるヨクイニンを併用することが多々あります。
飲み過ぎ食べすぎ型にきび
顔だけでなく、背中や胸、肩、側頭部言めかみから耳の周辺)にも出るにきびがあります。こうしたにきびは、脂っこいものや甘いもの 、アルコールの摂取過多によって起こります。若い男性などに良く見られる症状です。
治療には、過剰になっている食欲や皮膚の炎症を抑える黄連解毒湯平胃散の併用をします。便が硬ければ防風通聖散を使用します。便が軟便・下痢傾向の人は、半夏瀉心湯を用います。

 勢いのないにきび 

にきびのサイズも小さく、赤みも強くない勢いのないにきびがあります。
気血不足のにきびで、消化器が弱く血の生成がうまくいかず、余分な水分が皮膚表面に吹き上がって元気のないにきびができます。
栄養不足状態の為に元気が無く疲れやすい、だるい、食欲がない又は食欲にムラがあるなどの症状を伴う方多く人によっては、眠りが浅く夢を多く見るような症状があります。 臨床的に多いのが加味帰脾湯当帰芍薬散人参養栄湯などです。

 漢方薬アドバイス 

にきびによく用いられる漢方薬は上記以外に、十味敗毒湯清上防風湯竜胆瀉肝湯桃核承気湯加味逍遥散柴胡桂枝湯半夏白朮天麻湯など

 生活アドバイス 

●10代のにきびは、洗顔をしっかりしましょう。
●食べ物で悪化する人は、さっぱりした食事中心にしてください。
●睡眠不足はお肌に大敵です。十分な睡眠をとりましょう。

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